この絵にはびっくりです。地平線が極端に下8分の1くらいにあり、残りはすべて空白の空です。いくら歩いて行っても何も無いような空漠感を感じます。地平線を低くした絵を集めて、その効果を見てみました。
地平線を下げると当然空が広くなり主役になる。その雲の表情をドラマチックに描いています。地上は暗くぼんやりさせて、雲間からの光が射し込んでいるところの地面だけが明るい。この、空と地面の連動が大きな空間感を感じさせています。
(ロイスダール)
海辺に僧侶がたたずんでいる。自然の大きさと人間の無力さを対比させることで、「祈り」を表現したとされる有名な絵ですが、低い水平線と大きな空がその効果をもたらしています。
(フリードリヒ)
海辺に僧侶がたたずんでいる。自然の大きさと人間の無力さを対比させることで、「祈り」を表現したとされる有名な絵ですが、低い水平線と大きな空がその効果をもたらしています。
(フリードリヒ)
地平線は画面の下端ぎりぎりの低い位置。ダイナミックな雲の動きをとらえた、壮大な空間を感じさせます。
広々とした夕方の空がやわらかく懐かしい雰囲気をかもしだしている、詩情たっぷりの絵です。
(ドービニー)
これらはみな、風景画に定番の、山や川や樹といった「物」を描くのではなく、それらをつつみこんでいる「空間」を描こうとしています。そしてその空間を満たしている空気の「空気感」を描こうとしています。
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