2025年12月7日日曜日

ゴッホの「アルルの寝室」の遠近法

Van Gogh's Bedroom

ゴッホは親友のゴーギャンとしばらく同居していたが、その頃、部屋の様子を描いたのが「アルルの寝室」だ。そしてゴッホは、同居を始める前にあらかじめゴーギャンに出した手紙にスケッチを添えて、部屋の感じを知らせている。



この2つを遠近法の観点から比較すると面白いことがわかる。スケッチの方は厳密に1点透視で描かれているが、絵の方は同じく1点透視でありながら、ルールどおりでなく、すこし変形して描いている。そのことを確かめてみたら下図のようになった。


右図のスケッチの方は、正面の壁とベッドが垂直水平の長方形になっていて、1点透視として正しく描かれている。左図の絵の方は、壁とベッドが傾いている。つまり壁の上下のラインとベッドの上下のラインは、ともに収束(converge)していて、画面の外の遥か右にもう一つの消失点が生じている。つまり1
点透視ではなくなっている。ゴッホはなぜこうしたのか? 

部屋の左の壁は狭く描かれているのに対して、右の壁は広いから、ゴッホは部屋の左寄りから描いていることがわかる。そうすると部屋の右の方は左に比べて距離が遠くなる。だから正面の壁やベッドに収束が生じる。特にこの部屋は狭そうなので、左右の距離の差が大きくなる。それで絵の方にはもう一つの消失点が生まれている。そしてその方がスケッチより自然に見える。

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