perspective of cloud
近代的な意味での風景画が始まったのは、17 世紀のオランダだったが、その中で一番有名なのがロイスダールだ。地平線を画面の低い位置に置いて、画面の大部分が空になる構図にする。それによって広々とした空間の広大さを表現した。
この「漂白場のあるハーレムの風景」という有名な絵で、手前の漂白場(布などを漂白する場所?)の向こうに平坦な地面が地平線まで続いていて、地平線上に塔のある教会が小さく見えている。遠くまで見渡す距離感を感じさせるうえに、空が3分の2以上を占めていて、広大な空間を感じる。
空が広いということは、空の表情を描くために雲が重要になる。ロイスダールの時代は遠近法が確立した時代だから、雲も遠近法にもとづいて描いている。いちばん手前の雲は大きく、地平線に近い遠い雲は小さく描いている。
このことを図(図は「アルウィンの風景画入門」より)にするとこうなる。実際の雲は不定形だが、四角い箱に単純化して、それが空に浮いている状態で雲の遠近法の原理を示している。手前の雲は大きく、遠くの地平線に近づくにつれて小さくなる。そしてすべての箱が地平線上の消失点に収束する。もちろん実際の雲は箱ではないから、消失点などないが、傾向としてそういう意識で描く。そのうえで、上のロイスダールの雲をあらためて見ると確かに、この原理図どうりに描いていることがわかる。
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