2025年9月12日金曜日

エッシャーとアラベスク模様

Escher & Alhambra 

ある友人が、スペインのアルハンブラ宮殿へスケッチ旅行をしたときのことを書いたブログが面白かった。自分は行ったことはないが、アルハンブラにはとても興味がある。その理由はエッシャーだ。エッシャーはアルハンブラを訪れてたくさんのスケッチをした。

イスラム様式の建物のスケッチ(右図)もあるが、エッシャーがもっとも興味を持ったのが壁面の装飾模様だった。いわゆる「アラベスク模様」だ。壁全体を細かい幾何学模様でびっしりと埋めている。エッシャーはそれを詳細にスケッチした。

「ALHAMBRA」のメモがあり、日付も記入してある。それを見ると、このスケッチを数日間続けたことがわかる。(図は「Le Monde de M. C. Escher」 より)


これらの模様に共通していることは、普通の意味の「図」と「地」の関係がないことだ。例えばこの模様で、黒の T 字型が「図」で、白の T 字型は「地」だ。しかし同時に、白の T 字型が「図」であり、黒の T 字型は「地」である。そして同じ形の白と黒の T 字型が隙間なく、びっしりと全体を埋めている。幾何学が発達していたイスラム文化ならではの模様だ。

エッシャーはこれに魅入られて徹底的に研究した。そしてこの原理を応用した自分オリジナルの模様を作った。例えばこれは幾何学的でなく、具象的な鳥の形で試みている。白と黒の鳥の反転図形で隙間なく画面を埋めている。これは幾何学図形でやるよりかなり難しいだろう。

そしてその習作を応用して、絵画作品にしている。例えば、この鳥の模様を使ったのが有名な「昼と夜」だ。そのほかにもこの原理を活かした作品を多数制作している。


こういうアラベスク模様は、日本にあるイスラム教のモスクでも少し見られるが、大阪万博に何かないかと思いついて、イスラム圏の館をネットで調べたらあった。ウズベキスタン館で、館内の四方の壁全体に映像が写し出されている。おそらくプロジェクション・マッピングで、映像の大きさも実物と同じ原寸だろう。壁全体を覆うアラベスク模様が壮観で、迫力がありそうだ。



0 件のコメント:

コメントを投稿