2018年5月24日木曜日

「ターナー展」(その3 : クロード・グラス)

Claude Glass,  Claude Lorrain and Turner

誰でも経験があると思うが、窓ガラスに映った景色が実景よりも良く見えることがよくある。これを応用した「クロード・グラス」という絵描き用の道具が昔あったそうだ。小さなガラスの凸面鏡で、絵を描く場所でくるりと後ろを向いてこの鏡で風景を見ながら描く。細部の形や色にとらわれずにすむので、対象の光の明暗を大づかみに把握できた。

「クロード・グラス」の名前のいわれは、風景画の始祖クロード・ロランから来ている。クロード・ロランは古代ローマ建築をモチーフにして光の明暗を劇的に描いた。それがピクチャレスク絵画の理想風景とされていたので、ロランのように描きたい画家たちはクロード・グラスを持って、あちこちへ出かけたそうだ。

ロランから200 年くらい後のターナーもロランに憧れていた。さすがにクロード・グラスは使わなかっただろうが、古い建築を探して歩き、それをもとに描いた。この絵など、モチーフ、構図、光、などすべての点でロランの影響を受けている。
( 参考:「ターナー」「廃墟の美学」)
(「ターナー  風景の詩」展、
 損保ジャパン興亜美術館、〜7/1)


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