2025年11月16日日曜日

上から見下ろす3点透視の絵画

Perspective Looking Down  

先日、上を見上げる3点透視の絵について書いたが、今回は上から見下ろす3点透視の絵画について。名作絵画でこのような作品はないか、あれこれ画集などを探したが、なかなか見つからない。例えばモネの有名な「モントルグイユ通り」で、パリの通りを見下ろしてはいるが、1点透視で、3点透視になっていない。

その理由は、この絵の建物は6階建くらいだが、アイレベルからして、モネは3階あたりから見ていることがわかる。だから3点透視では描けない。3点透視で描くには、建物の上から見下ろさなければならない。ドローンなどなかった印象派の時代にそれは無理だ。


上から見下ろす3点透視のビューは、映画ではよくある。ヒッチコックの有名な「めまい」は高所恐怖症の男が主人公で、高いところから見下ろすシーンが出てきた。カメラワークのうまさで、映画を見ている人は主人公と同じ恐怖心を感じさせられた。



遠近法の教本で、見下ろす3点透視の説明をした図があった。まさに「めまい」のシーンどうりだ。この図で、真下に見える交差点が実際どおりに直角に交差していて、ビルの屋上のコーナーも直角になっていることに注目といっている。(図は「Perspective Made Easy」より)

このような絵画の実例を探したが、結局「見上げる」の時に紹介したチャールズ・シーラーの作品ひとつしか見当たらなかった。まわりをビルに囲まれた空間を見下ろしている。ただし色面構成的な美しい絵なので、めまいを起こすようなリアルさはない。




0 件のコメント:

コメントを投稿