2025年6月10日火曜日

映画「THE DAYS」

「THE DAYS」


映画「THE DAYS」のネット配信(NETFLIX)が始まった。 福島原発の事故の一部始終をドキュメンタリータッチで描いた再現ドラマだ。入念なリサーチに基づいていて、あの日、関係者たちはどう動いたかが克明に描かれている。

巨大津波で水没した原発は、全電源を失い、冷却機能を失った原子炉はメルトダウンの危機が刻々と迫っている。所長以下職員たちは放射線の危険を顧みず、原子炉建屋に入って決死の復旧を試みる。

ところが、東京の東電本社の幹部たちは、現場の所長に電話で怒鳴り散らすだけで何も手を打つことができない。それどころか悪戦苦闘している現場の妨害をしている。さらに本社の経営トップの記者発表では、記者の質問にまともに答えられず、トンチンカンぶりを露呈してしまう。この事故は津波によるものではあるが、人災とされる所以だ。

もうひとつの人災は首相だった。現場の状況を把握できない首相はいらついて、まわりの関係者を怒鳴り続ける。最後に我慢できなくなって現地へ乗り込んでいく。そして所長に状況を説明しろと迫る。このことは当時から現場の邪魔をしているだけだと批判されていた。

連日行われた官房長官の記者発表が今でもはっきり記憶に残っているが、映画でもその通りに描かれている。深刻な緊急事態であるにもかかわらず、住民の避難を指示しない。「健康被害の恐れはないので、自宅に止まってください」と言い続けた。これも被害拡大の原因になった人災のひとつだった。


おりしも、先週6月6日に東京高裁が、東電旧経営陣の法的責任を認めない判決を下した。(下は6/7. 日経新聞記事)この判決に納得できない人は多いだろう。この裁判は津波の予見性に関わるものではあるが、事故後の東電経営陣や政府の責任についても疑問を持つ人は多いのではないか。この映画はそのことを強く感じさせる。


0 件のコメント:

コメントを投稿