「Soylent Green」
環境破壊や気候変動などを題材にした映画は「クライメイト・フィクション」と呼ばれることがある。その中には食料に関する題材もあり、ちょっと古いが「ソイレント・グリーン」(1 9 7 3 年)などは代表例だ。環境問題が大騒ぎになリ始めたきっかけが、有名なレイチェル・カーソンの著書「沈黙の春」(1 9 6 1 年)で、野菜についた農薬の人体への影響を告発してからだった。この映画はそういう食料問題への関心の高まりが背景になっている。
映画はまた、黙示録的破滅の後にくるディストピア社会という S F 映画の定番パターンにのっとっている。映画としては B 級だが、現在実際に起きている食料に関わる出来事を思い浮かべながら見るとけっこう面白い。
舞台は 2 0 2 2 年 (映画では 5 0 年後だが、現実だと来年ということになる)地球温暖化で生物が絶滅して、食料不足が深刻になり、市民は政府から支給される味気のない緑色の合成食品「ソイレント・グリーン」で飢えをしのいでいる。政府は人口を減らすために、希望者に安楽死をさせる政策をとっていて、そのための専門施設がある。そこから出た死体の山は、ゴミ収集車のような車で謎の工場に運ばれる。主人公の刑事が工場に潜入すると、そこはなんと「ソイレント・グリーン」の生産工場だった・・・ エンディングで、かつて地球にあふれていた美しい自然の映像がモーツァルトの音楽に乗って次々と写し出される・・・
最近の「遺伝子組替え食品」や「人工合成肉」や「食品偽装」などの食料問題に通じる話で、まったくの作り話しとは思えない映画だ。また最近実際に映画通りの「ソイレント」というサプリメントが発売されたそうで、健康被害もあったというから、なおさらだ。
0 件のコメント:
コメントを投稿