感染症やパンデミックの本に必ず書かれているのがペスト(黒死病)で、1 4 世紀ヨーロッパで猛威をふるい、全人口の半分が死んだ恐怖の感染症だ。人々は神に祈るしかなかったが、神が人間を救うことはない。恐怖にかられ、ペストは悪魔の仕業だと信じて、狂ったように魔女狩りをする。また神の代わりに自分は人間を救えると称して、怪しげな黒魔術師が暗躍する。それがキリスト教と神の権威が失われる原因になり、やがて中世の時代を終わらせ、ルネッサンス時代になっていく。パンデミックが世界史を塗り変えてきたといわれるが、ペストはその代表的なものだった。
このことを題材にした映画が「Black Death」で、題名のとおり黒死病と、それに立ち向かおうとするキリスト教徒の「信仰」がテーマになっている。邦題の「ゴッド・オブ・ウォー 導かれし勇者たち」は、内容と無関係なバカな題名だが、そのせいで B 級映画だろうと思っていたら、実際はなかなかの映画だった。1 4 世紀イギリスのペスト大流行の時代、敬虔な若い修道士の主人公が、神の救済を求めて必死に祈る。しかし救済はなく、人間はバタバタ死んでゆく。そして人間同士が残虐に殺しあう。凄惨な現実を目の当たりにして、修道士の信仰が揺らぎ始め、やがて崩れていく・・・
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