Chardin
絵の「質感」とは、物の性質を手で触ることなく、目で感じさせることだが、それには物に当った光が反射・吸収・透過する様子を描くことでしか表現できない。モチーフを目の前にしていても、その光の違いが見えていないことも多いが、質感の教科書のようなシャルダンの静物画を見ると分かってくる。いろいろな果物がどう描き分けられているか見てみた。
ぶどう
果肉が透明なので光が透過し、凸レンズのような効果で、光源と反対側の影の中にハイライトが生じる。ビー玉と同じ性質。
桃
表面にうぶ毛があるので、色のコントラストが柔かくなる。光が当たってもハイライトができない。あの独特の手触りを目で感じることができる。
ざくろ
ざくろの外皮は硬くてツルツルしているので、明暗コントラストが強くなる。ハイライトも強い。陶磁器のような性質に近い
梨
「梨地」という金属の表面加工は、細かいザラつきのあるテクスチャーで、柔らかい光の反射を生む。語源の梨はまさにそれ。
メロン
ねっとりした果肉なので、光は吸収され反射しない。だから変化をつけずに、ほぼオレンジ色だけで塗りつぶしている。