2019年2月8日金曜日

シャルダンに学ぶ果物の描き方

Chardin

絵の「質感」とは、物の性質を手で触ることなく、目で感じさせることだが、それには物に当った光が反射・吸収・透過する様子を描くことでしか表現できない。モチーフを目の前にしていても、その光の違いが見えていないことも多いが、質感の教科書のようなシャルダンの静物画を見ると分かってくる。いろいろな果物がどう描き分けられているか見てみた。



ぶどう
果肉が透明なので光が透過し、凸レンズのような効果で、光源と反対側の影の中にハイライトが生じる。ビー玉と同じ性質。




表面にうぶ毛があるので、色のコントラストが柔かくなる。光が当たってもハイライトができない。あの独特の手触りを目で感じることができる。



ざくろ
ざくろの外皮は硬くてツルツルしているので、明暗コントラストが強くなる。ハイライトも強い。陶磁器のような性質に近い



「梨地」という金属の表面加工は、細かいザラつきのあるテクスチャーで、柔らかい光の反射を生む。語源の梨はまさにそれ。


メロン
ねっとりした果肉なので、光は吸収され反射しない。だから変化をつけずに、ほぼオレンジ色だけで塗りつぶしている。

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