Exhibition " The Tower of Babel " #2
前回書いたように、この絵は 75cm ほどの小さい絵なのだが、ここになんと1400人くらいの建設作業員が描かれているという。肉眼ではほとんど見えないのだが、同時展示されている300% の拡大複製でよく見える。
ブリューゲルはなぜ空想の高層建築を、建設中として描いたのか。こんな天にも届くような塔を建てると、人間の傲慢さに神様が怒って天罰を受けるぞ、という世界観を視覚化したと言われている。
こういう観念は西洋ではかなり普遍的なものだから、これ以降も何度となくバベルの塔が描かれてきた。展覧会でもそれらが展示されている。これは18世紀のバベル。
今の時代でも人間は科学技術によって自然をコントロールしようと様々な ”高い塔” を作り続けている。その結果たくさんの災害という天罰を受けている。だからこの絵のテーマは、400年後の今につながっているはずだと思うが、実際はどうだろう。
別の展覧会で見た「バベル」というタイトルの、ある日本人画家による絵だが、そういう世界観のようなものは感じない。CGで描いた建築レンダリングのように見えてしまう。