2016年11月29日火曜日

映画 「Creation」


「Creation」という 2009 年のイギリス映画を観た。進化論を提起したダーウィンの生涯を描いた地味な伝記映画だ。しかしこれがアメリカで公開禁止になったのだが、そのことの方が映画そのものより面白い。

人間は神様が創ったと信じるキリスト教徒にとって、猿が人間の先祖だという進化論は許せないものだったが、150 年後の今では世界中で当たり前のことになっている。しかし保守的なキリスト教信者が多いアメリカでは今でも大多数が進化論を否定していて、州によっては学校で進化論を教えることを禁止しているという。今年の大統領予備選でトランプと競ったクルーズ候補は「進化論は真っ赤な嘘だ」という選挙スローガンを掲げていたが、それが票になるのがアメリカだ。

だから映画は猛反発を受け「映画を公開すれば、配給会社には神とその忠実なしもべであるアメリカ国民による正義の鉄槌が下るだろう」と攻撃されて公開中止に追い込まれた。

(映画は日本でも未公開で、DVD化もされていないが、輸入DVDで観れる。)


2016年11月26日土曜日

小田野直武展

こんなすごい人が江戸時代にいたとは知らなかった。西洋絵画を勉強して遠近法と陰影法をマスターしたが、ただの真似ではなく日本絵画と融合したオリジナルな絵を残した。ポスターに使われている絵は50号くらいの大作だが空気遠近法が見事。前景に極端に大きい物を置く浮世絵の構図が印象派に影響を与えたとよく言われるが、その浮世絵は小田野から影響を受けていたという解説があった。こちらが元祖らしい。 (サントリー美術館)


2016年11月23日水曜日

有楽町で逢いましょう



有楽町駅で電車を待っていると、ホームの目の前にあるビックカメラの巨大広告が嫌でも目に飛び込んでくる。この建物はかつてはそごうデパートだったが、その頃はもうすこし落ち着いた雰囲気だった。

昭和33年にヒットした「有楽町で逢いましょう」はそごうがモデルで、例の『あなたを待てば雨が降る・・』の歌詞の中にそごうとその周辺の情景が盛り込まれている。『駅のホームも濡れたろう ああ小窓にけむるデパートよ・・』と有楽町駅も出てくる。

これはそごうが仕掛けて作らせた曲で、デパートの立地としては銀座や日本橋に比べてイメージ面で不利な有楽町のイメージアップを狙った一種のCMソングだった。当時そごうの宣伝部にいてこれをやったのが大学の大先輩のKさんだったが、ブランド戦略の成功例として「有楽町で逢いましょう」のことをよく自慢していたのを思い出す。







2016年11月20日日曜日

銀座に残る歴史的建築

The historical architecture in Ginza

銀座6丁目あたりは画廊が多いのでしょっちゅう歩くのだが、有楽町駅から銀座通りまでのコースに3つの歴史的建築がある。


みゆき通りに「泰明小学校」だけが昔のままで生き残っている。小学校にしては壮麗な建築で、ちょっとした美術館なみだ。昭和4年築で、当時ドイツで最先端の表現主義建築のデザイン。階段状に奥へくぼんでいく入り口や、逆台形を積み重ねた形の柱など個性的な造形だ。



みゆき通りの隣の通りにある「交詢ビル」も昭和4年築だが、こちらは華麗なアール・デコだ。現在はショップやレストランが入る商業ビルで建物は新しいのだがオリジナルのファサードの一部だけがつぎ足されている。こういうのは「カサブタビル」と悪口も言われるが、完全に消えてなくなるよりはいいだろう。
このあたりを歩いた後によく立ち寄るのが銀座通りのビヤホール「ライオン」。昭和9年築で、外観は新しくなっているが内部のホールはオリジナルのままで、F・L・ライトの影響を受けたデザインと言われている。天井が高く、フロア全体が柱の無い大空間で、そこに施された装飾が素晴らしい。

2016年11月18日金曜日

RX7

Mazda RX 7
ポルシェ 924 似ではあったが「カッコいい」車だった。ロータリーエンジンの威力で音が全然しないのに体がのけぞるくらい加速する。リッター4kmというとんでもない燃費なのに平気で乗っていたバブル時代の車だった。交差点のど真ん中でエンジンがいきなりプッツンして寿命を終えたのだが、今思うとバブルがはじけたのとちょうど同じ頃だったのが面白い。



2016年11月16日水曜日

日野コンテッサ

Hino Contessa
今ではトラックメーカーの日野が 1960 年代に作っていた車。1300 CCの方はミケロッティの美しいデザインだったが買えなくてこの 900 CCに乗っていた。重症の「エンジンがかからない病」だったが、当時の車は手動でエンジンをかける「クランク」なるものが付属していた。リアエンジンなのでサイドにエアインテークがあるのだが、そのくぼみに砂がたまって雑草が生えてきたのにはまいった。でも面白いのでそのままで走っていた。


2016年11月13日日曜日

トーマス・コール「帝国の推移」

Thomas Cole : "The Course of Empire"

大統領選はトランプさんが勝ったが、選挙スローガンは、"Make America Great Again" (アメリカをもう一度偉大に)だった。アメリカ帝国の夢をもう一度だ。

19 世紀のアメリカの画家トーマス・コールは「帝国の推移」という連作で、風景に託してアメリカの過去・現在・未来を描いた。とがった山が遠くに見える同じ場所の風景が時代と共に変化していくようすを描いている。上から「未開の状態」「牧歌的な状態」「帝国の完成」「帝国の衰退」「荒廃」という5つの段階だ。コールは、経済的豊かさを追い求め、領土拡張を進めているアメリカの将来を悲観していた。トランプさんは回生の6段階目を作れるか?



2016年11月10日木曜日

「昇龍橋」横浜にある石造アーチ橋

The old arch bridge in Yokohama

この「昇龍橋」という4mくらいの小さい石橋は明治時代に作られたもので、横浜市の歴史的建造物に指定されている。ここだけ切り取ると田舎の風景に見えるが、普通の住宅地がすぐ隣にある不思議な場所だ。

石造アーチの橋はもともとは日本にはなく、江戸時代に朝鮮半島あたりから入ってきた技術なので、九州に集中していて東日本にはほとんど無い。万世橋など東京にある石橋は明治時代に九州から石工を呼んで作らせたものだという。

それが横浜のこんなところに一つだけ唐突にある理由はよく分かっていないそうだ。


2016年11月7日月曜日

「外交官の家」アール・ヌーボーの洋館



Art Nouveau in Yokohama : "Diplomat Residence"

アール・デコの建築は昭和なのでかなり残っているが、アール・ヌーボーは明治なので、あまり現存してない。地元横浜では山手の洋館「外交官の家」くらいのようだ。ただしパリにあるような本格的ヌーボー建築ではなく、外観はごく普通の洋館。だが内部の家具・暖炉・照明器具などにアール・ヌーボーをたくさん見ることができる。

鋳造製のドアの取っ手が素晴らしい。植物がモチーフの典型的なアール・ヌーボーのデザインで、こんな狭い中にもびっしりと模様を施している。試しに触ってみたが握りごこちがとてもいい。

部屋ごとに違うデザインのステンドグラスもいい。植物と自由曲線による優しい模様で、アール・デコの幾何模様との違いがよくわかる。


2016年11月3日木曜日

ロードスター

Roadster
かつての MGB を現代的に再現したこの車が好きで、2代目と3代目にわたって長い間愛用してきた。空気を感じながら田舎道をのんびり走るのが楽しい。最近モデルチェンジした4代目はさらに魅力的だが、もう卒業ということに。