2016年6月27日月曜日

横浜のアール・デコ:エリスマン邸

"ART DECO"  in Yokohama  : Ehrismann Residence

山手の洋館のひとつ「エリスマン邸」は、外観は普通だが、インテリアがレベルの高いアール・デコになっている。築年が大正15年(1926)で、設計者はA・レーモンドというライトの弟子だった人。

応接室の暖炉周辺が、ものすごくハイセンスだ。装飾を抑えて、空白を活かしたプロポーションの美しさで勝負しているのは、もうモダンデザインと言っていいと思う。レーモンドは苦労してライトの影響から抜け出そうとしたそうだが、その表われかもしれない。しかし照明器具だけが装飾的で、まだライト的な名残りがあるのが面白い。

多角形がテーマの家具や、階段や窓格子の装飾など、邸内各所に素晴らしいアール・デコのデザインを見ることができる。




2016年6月22日水曜日

横浜のアール・デコ:横浜地方気象台

"ART DECO"  in Yokohama : Yokohama local meteorological observatory

アール・デコがパリで生まれたのは1920年代だが、その影響を受けた昭和初期の建物がまだたくさん残っている。その一つ「横浜地方気象台」に初めて入ってみた。

昭和2年(1927)の築だがまだ現役。写真左にちらりと見えるのは近年増築された新館で、安藤忠雄の設計。歴史的建築に敬意を表して、本館の外観をそのまま踏襲していているので二つはよく溶け合っている。

窓の上端にあるレリーフがいかにもアール・デコで、壁面にいい表情を与えている。また、窓の並び方のリズムとプロポーションが美しい。

(左)玄関ポーチの柱のレリーフ。扇型や櫛型など典型的なアール・デコの造形。
(右)玄関ドアのガラスに施された繊細な線による幾何学模様の装飾。

階段の手すり。鉄の鋳物を木の間に挟んだデザインだが、控えめであっさりしている。



1930年代になるとモダンデザインの運動が始まるが、アール・デコはそれへの橋渡し的な役だった。そんな歴史を実感させてくれる建物だ。

2016年6月17日金曜日

バンクシーの「落書き」

Banksy

このあいだ、鳥取砂丘に観光客が巨大ハートマークの落書きをしたという報道があった。歩いて足跡で描いている本人(?)が写っている。お目玉をくらってすぐに消させられたそうだ。これはただの落書きだが、ちょうど同じ頃、もうすこし面白い落書きのニュースをテレビでやっていた。
イギリスのある小学校に突然落書きがされていた。消そうとしたら落書きの本人から手紙が来て、グラフィティアーティストのバンクシーだと分かり大事に保存することになったそうだ。彼の落書きはアートとして認められているので「消されない落書き」なのだ。

バンクシーの落書きはロンドンにいっぱいあるようだが、トゲのあるメッセージ性が面白く、技術的にもうまい。よくあるような型にはまったグラフィティとはずいぶん違う。この場合も、タイヤを燃やして遊んでいる「悪い子」をわざわざ小学校に描いている。もしかしたら「みんなもっと自由にやろうよ!」というメッセージなのだろうか?

2016年6月11日土曜日

横浜のアール・デコ:氷川丸

Art Deco in Yokohama : Hikawamaru

氷川丸の中へ初めて入った。フランス直輸入のアール・デコの内装がオリジナルのまま現存している珍しい例だという。1928 年(約 90年前)に国際コンペが行われ、フランスのマルク・シモンというフランスのデザイナーの案が採用された。

この階段室は手すりなどの装飾が典型的なアール・デコ。それ以前のアールヌーボー式と違って、直線や円弧などによる幾何学的な造形の、当時の最先端デザインだ。映画「タイタニック」で同じようにエレガントな階段室が出てきた(もっと大きかったが)。あれもたしかアール・デコ調だったと思う。


上は社交室という公共スペースの天窓、暖炉、ソファなどで、こういうディテールにアール・デコの特徴(階段状の造形など)がよく現れている。下は現存しているシモンによるデザインスケッチだが、上の写真と比べると絵の通り忠実に作られていることがわかる。





2016年6月7日火曜日

クラシックカーラリー横浜

Classic Car Rally,  Yokohama

この間(5 / 21)地元横浜でクラシックカーのラリー( RALLY YOKOHAMA  2016 )があって見に行った。スタート地点の大桟橋から年代の古い順に出走していく。10番目までにブガッティが2台、ベントレーが4台入っていた。軽快感のブガッティと重厚感のベントレーが対照的、形も音も。

ブガッティ(1927)      ベントレー(1935)

       ジャガー(1936)   MG(1936) スタンゲリーニ(1953)

ブガッティ(1928) (水彩+パステル)
 

2016年6月1日水曜日

アートと建築の旅、瀬戸内

Art & Architecture in Seto-Uchi

その1:地中美術館  @直島
ずっと見たいと思っていたが、やっと行くことができた。展示作品もさることながら、安藤忠雄の建築自体がひとつの素晴らしいインスタレーション作品になっている。

その2:精錬所美術館  @犬島
100年前に作られて廃墟になっていた銅の精錬工場を再利用して作った美術館で、とても面白い。化石燃料はもちろん太陽光や風力などの自然エネルギーも使わず、外から吹きこむ風だけで空調をしている。工場時の煙突を利用し、まさに煙突効果で空気を吸い込んでいる。電気がないので真っ暗な内部に光をテーマにしたインスタレーションが展示されている。

その3:大塚国際美術館  @鳴門
全てが陶版上に複製された絵なのだが、オリジナルどうり忠実でどこが陶板?という感じ。見たくても写真でしか見られなかったたくさんの作品を初めて「現物」で見ることができた。システィーナの天井画などは実際の礼拝堂をそのまま再現しているので本物と同じスケールで見ることができる。また例えばダヴィッドの長さ10mの大作「ナポレオンと皇后の戴冠式」などもルーブルで見たとうりの迫力を味わえる。