2016年3月29日火曜日

「千葉高校美術館」を見に行く

Visiting "Chiba High School Museum"

我が出身高校には、高校としては珍しい付属美術館がある。プロ画家になって活躍した卒業生達の作品を展示している。久しぶりで訪れてみた。

明治11年(約140年前)創立の古い学校なので、明治時代の洋画事始めの頃の絵からはじまって、最近の現代絵画や抽象絵画まで、様々な作家の作品が並んでいる。


在校時に美術クラブの顧問だった日本画の大家、山口達先生の作品。あれから 50 年以上経つ。美術の盛んな学校で、毎年、東京芸大に何人か合格していたが、自分は才能のないことを自覚していたので、デザインの道へ進んでしまった。だが今では趣味として絵を楽しんでいて、悔いはない。



2016年3月25日金曜日

パステル「雪の日」

Pastel  "Snow day"  

春になった。季節はずれになってしまったが、雪の日に描きかけたまま放ってあったスケッチを仕上げた。雪が積もると屋根の形が浮かび上がり、そのリズムが面白い。

Soft pastel,   Canson paper,   30cm × 24cm

2016年3月21日月曜日

横浜のアール・デコ:馬車道大津ビル

 "ART DECO" in Yokohama

横浜には様々な様式の歴史的建築が現存している。ネオ・バロック様式(現神奈川県立歴史博物館)、ネオ・ルネッサンス様式(現日本興亜馬車道ビル)、帝冠様式(神奈川県庁舎)、など。その中で昭和初期の建築ではアール・デコが多い。パリで生まれて世界に広まったこの様式は、現代建築と比べるとレトロだが、当時の最先端デザインだった。

「馬車道大津ビル」は昭和11年(1936年)築の現役のオフィスビル。外壁のタイルを平面的に貼るのではなく、立体的にしたり、グラフィック的に構成をするのはアール・デコの特徴だが、このビルはその素晴らしい例だ。老朽化していて、タイルの落下防止のための薄い金網でビル全体が覆われている(写真がボケて見えるのはそのせい)が、よく生きのびている。テナントは建築事務所が多いそうだが、空家になって取り壊しという話にならないように守っているのかもしれない。




2016年3月13日日曜日

横浜「キングの塔」

The architecture of the prefectural government office in Yokohama and its design competition in 1926


横浜三塔のひとつ「キングの塔」のある神奈川県庁舎でオープンハウスがあったので見学に行ってみた。展示室に建物の建設当時の資料が展示されていて興味深かった。

この建物は建築史的には「帝冠様式」と呼ばれるそうで、鉄筋コンクリート構造でありながら和風の瓦屋根を乗せた和洋折衷的デザインを指す。戦前のナショナリズムとファシズムの時代に公共建築によく取り入れられた様式で、この県庁舎はそのはしりだったそうだ。

建設にあたり大正15年に設計コンペが行われ、ほぼ当選案どうりに建設されている。下がその当選案と上位入選案のパースで、面白いのはこれらが全体プロポーションや塔がある点など非常に似通っていることだ。自由コンペと言いながら、デザイン条件に「こんなデザインを」という暗示がされていたらしい。またパース自体も版で押したように同じなのはテンプレート的なものが用意されていたからだそうだ。現在では考えられないコンペのやり方だが、当時の全体主義のドイツやソ連などと共通する文化統制の影を感じる話だ。



2016年3月6日日曜日

パステルで小スケッチ

パステルで静物の小さいスケッチを描いた。どこかの海へ行った時に買った漁の浮き。
Soft pastel & Pastel pencil,   Sanded pastel paper,   25cm × 20cm

ついでに以前描いた絵にも手を加えた。サンドペーパーへ描くのに少しずつ慣れてきた。
Soft pastel & Pastel pencil,   Sanded pastel paper,   26cm × 17cm

こういうのを描いていると、以前ある先生から、静物画では「空間感」が大事だと言われたのを思い出す。物自体の色や形や質感ばかりに気をとられがちだが、物が置かれている空間を意識しなさい、ということだった。                     

2016年3月1日火曜日

「ヘイトフルエイト」の美術

クエンティン・タランティーノ監督の最新作「ヘイトフルエイト」を観た。この監督の作品は演出やセットがわざとらしく、映画全体がいかにも「作り物」という感じなのだが、それをわざとやっているのがよく分かる。例えば冒頭のシーンで磷付けにされたキリストの像がアップで出てくる。アメリカ西部の原野の中にそんなものがあるか、という感じなのだが、そういうところが魅力だ。

この映画の美術監督をやっているのが日本人の種田陽平で、映画のビジュアル全体をデザインしている。舞台になっている山小屋などのイメージスケッチが公開されている。美大で勉強をしただけあってイマジネーションに溢れた絵で素晴らしいが、映画でもこの通りに再現されている。黒澤明や宮崎駿のように自分で絵を描く人は別として、普通は監督の意図を具体的に視覚化する美術監督は映画の出来を左右する大事な役割なのだろう。

(上)山小屋のスケッチ (下)馬小屋のスケッチ 
(映画公式サイトより)