この建物は建築史的には「帝冠様式」と呼ばれるそうで、鉄筋コンクリート構造でありながら和風の瓦屋根を乗せた和洋折衷的デザインを指す。戦前のナショナリズムとファシズムの時代に公共建築によく取り入れられた様式で、この県庁舎はそのはしりだったそうだ。
建設にあたり大正15年に設計コンペが行われ、ほぼ当選案どうりに建設されている。下がその当選案と上位入選案のパースで、面白いのはこれらが全体プロポーションや塔がある点など非常に似通っていることだ。自由コンペと言いながら、デザイン条件に「こんなデザインを」という暗示がされていたらしい。またパース自体も版で押したように同じなのはテンプレート的なものが用意されていたからだそうだ。現在では考えられないコンペのやり方だが、当時の全体主義のドイツやソ連などと共通する文化統制の影を感じる話だ。
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