Ino Map & Siebold Incident
前回書いたホルムズ海峡の地図のように現在では、人工衛星によって軍事的に必要な地図情報を瞬時に得ることができる。それで伊能忠敬の地図のこと思い出した。
伊能忠敬の地図の原寸大のレプリカを見たことがある。あるイベントで、体育館の床に忠敬の地図の全部を日本列島の形どうりに並べている。観客はその上を自由に歩き回ることができ、細部まで間近に見ることができる。自分の住所のあたりを見ると、現在の地図とまったく変わらないことがわかり、忠敬の地図の正確さを実感できる。
この地図は沿岸部だけしか描かれておらず、内陸部はほとんど空白のままだ。鎖国が続いていた幕末だが、外国船がたびたび日本周辺に現れていた。危機感をいだいた幕府は、国防に必要な正確な地図を作ることを伊能忠敬に依頼した。地図が沿岸部だけなのはそのためだ。
この地図を国外へ持ち出した「シーボルト事件」は有名だ。オランダ商館の館員だった医師のシーボルトは、日本に生息する植物の調査などをしていたが、実は日本の情報を集めるスパイだったと現在では言われている。シーボルトが帰国するとき、伊能地図を持ち出そうとしたが発覚して没収された。伊能地図は国防上重要な国家機密だから、シーボルトに地図を贈った幕府の役人は処刑された。ところがシーボルトは写しを取ってあり、それを密かに持ち帰っていて、帰国後に「シーボルト日本図」として出版した。
当時のヨーロッパの地図に描かれていた日本は大雑把なもので、伊能地図の精密さは驚異的だった。だから喉から手が出るほどの価値がある地図だった。
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