Origin of Painting
日経新聞の連載コラム「去り行くものを描く」の第1回目で、デヴィッド・アランという18 世紀の画家の「絵画の起源」という絵が紹介されている。古代ギリシャの神話にもとづく絵で、戦場に出てゆく恋人の面影を残すために、女性がろうそくの光で壁に映った影をなぞっている。「影をなぞる」というのが絵画の始まりだったといわれている。
その後もこれと同じ題材の絵が何度も繰り返し描かれてきた。,左はエデユアルド・デジエという人の「絵画の発明」(1832 年)で、右はアンヌ=ルイ・ジロデという人の「素描の起源」(1829年)。題名もほとんど同じだ。(写真は「影の歴史」より)
だから肖像画は横顔で描くというのが長い間の常識だった。これはルネッサンス期になっても続き、例えば有名なボッティチェリの「若い女性の像」も横顔で描かれている。影のシルエットではなくなったが、表現は平面的だ。
正面から描いて本人らしさを表現できるようになるのは、レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナリザ」からだった。それは、遠近法と陰影法の発達によって、顔の立体表現が可能になったからだ。
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