Optical Illusion
デザインをする人にとって錯視は大事な要素だ。直線と曲線が隣合わせに並んでいる時に、何もしないと直線が曲線に影響されて曲がって見えるから、直線もわずかにカーブさせて補正するなどだ。(形の錯視)絵を描く人も、錯視を利用することがたくさんある。同じ色のものが明るい部分と陰の部分にまたがっている物を描くとき、同じ色に見えるように明るさを変えるなどを普通に行う。(明るさの錯視)
Newton 別冊の「錯視完全図解」は、錯視の種類や事例について系統的に整理している。「動く錯視」「明るさの錯視」「あらわれたり消えたりする錯視」「形の錯視」など全てが網羅されている。また錯視に脳が騙される心理学的なメカニズムについて詳細に解説している。「鎌倉不思議立体ミュージアム」を見学したのを機に、久々にこの本を読んでみた。
最後に「錯視」と「だまし絵」は同じものか?」という興味深い章がある。「知覚の不一致によって見る人を驚かせるという点では共通している。しかし心理学というサイエンスからみると、両者は別物である。」そしてエッシャーの「上昇と下降」の例をあげて、「実際にこのような階段を作ることは不可能だが、部分部分では間違ったところがなく、正しい知覚と言える。」としている。なるほど、正しいものを間違って知覚するのが錯覚だから、両者は逆のものだ。そして「だまし絵」のひとつとして、「メタモルフォーシス」をあげている。図形が連続的に変化していいき、別の図形に変わっていくものだ。これの例は、やはりエッシャーの名作「メタモルフォーシス」(題名がズバリそのまま)だろう。
0 件のコメント:
コメントを投稿