Odilon Redon
オディロン・ルドン展(パナソニック汐留美術館)を閉幕まじかでギリギリ鑑賞。ルドンといえば、「黒の時代」の木炭画と、それをもとにした石版画だが、この展覧会でその現物のすべてを見ることができる。石版画集「エドガー・ポーに」の一様だが、ルドンは、エドガー・アラン・ポーの怪奇小説からインスピレーションを得ていた。なおこの気球は、1878 年のパリ万博で、世界初の、観客を気球に乗せて上空からパリの眺望を楽しませたことをモチーフにしている。(同じことを今度の大阪万博でドローンでやろうとしていたが失敗してしまった)
初期の「黒の時代」から晩年にかけて、対照的にカラフルなパステル画に移行していくが、既存の解説書では、なぜそうなったかがあまり説明されていない。しかしこの展覧会では、すべての段階でのルドン作品が順に展示されているので、その変化は突然起こったのではなく、必然性があって徐々に移行していったことがよくわかる。例えばこのパステル画「ポール・ゴビヤールの肖像」は飾り気のない素描のような人物画だが、木炭デッサンのクロスハッチングのようなストロークを活かしている。木炭とパステルは似たような画材なので、ルドンは木炭の延長のような感覚でパステルを使っていたのではないか。
そして晩年の華やかなパステル画「グラン・ブーケ」ももちろん展示されている。この絵は普段は三菱一号館美術館に常設展示されている。逆にこれぐらいしか身近に見ることできないルドン作品全体を体系的に見ることができるこの展覧会は貴重だ。(なおすべての日が日時指定の事前予約制になっていて、かつ残りの枠が少なくなっているので、これから行こうという人は要注意)
0 件のコメント:
コメントを投稿