EXPO
万博とはもちろん「万国」の「博覧会」だが、この古臭い名前の由来を歴史でたどると、万博とはなにかがわかってくる。
万博の始まりは、170 年前の第1回ロンドン万博だった。産業革命を成し遂げた世界最大の工業国の、産業振興と国威発揚の場だった。だから、展示物は工業製品や発明品が中心だった。また7つの海を支配し、世界中に植民地を持つ大英帝国が、世界中で集めた珍しい物産の展示場でもあった。万博のこの基本的性格は今に至っても変わらず続いている。
第2回のパリ万博では、この「万国」というコンセプトが発展し「見せ物」的になる。中東やアジアのパビリオンがその国の様式で作られ、各国の風習がそこで実演された。日本は「茶屋」を作り、派遣された「芸者」が実演をして、人気を博した。これが後々まで続く「フジヤマゲイシャ」的日本イメージを作った。他にも、エジプトのベリーダンスや、アフリカの土人のが生活など、世界中の異国の風俗が客寄せのための「見せ物」として効果絶大で、万博の「売り」になった。「見せ物」はさらにエスカレートして、「アミューズメント」としての遊園地的な万博へなっていく。展望塔やパノラマ装置、あるいは悪趣味なキワモノ的パビリオンなど、万博のディズニーランド化だ。そして、産業振興のための、企業イメージの提示の場として荒唐無稽な「未来」を提示するようになっていく。1970 年の大阪万博あたりで、そのひずみが最も大きくなったといわれている。たしかにその万博で、大阪の某電機メーカーが「人間洗濯機」なるものを実演展示していたが、その会社は潰れてしまって今はもうない。
「海外の文化」や「未来の技術」などを知るための貴重なメディアだった万博だが、人、モノ、情報が簡単に世界を行き交う今の時代、その役割は終えてしまった。今度の大阪万博で、チケット売り上げが振るわないそうだが、当然だろう。
0 件のコメント:
コメントを投稿