「SIZE」
最近出たばかりの本「SIZE」がなかなか面白い。普段あまり意識していない「大きい・小さい」「長い・短い」「広い・狭い」などの「サイズ」について縦横無尽に語っている。読んでいると、サイズにまつわるたくさんの「思い込み」がくつがえされる。例えば、「黄金比」について。「黄金比」は最も美しい比率で、多くの絵画や建築に使われいると教えられているが、それはほとんど都市伝説のようなものだという。
美しい人間の顔の縦横比は黄金比で「モナリザ」がその典型だとする俗説がまかり通っている。しかし著者によれば、ミス・コンテストで優勝した各国の女性の顔の縦横比を計測した結果、黄金比の人はほとんどいなかったという。
工業製品でも美しいデザインは黄金比が多いと言われる。そこで著者はいろいろなものの縦横比を測って、黄金比 1.618 と比べている。その結果、黄金比の±2%の許容範囲に入ったのはクレジットカードだけだった。
アイパッド 1.305
A4のプリンター用紙 1.414
ノートパソコンの画面 1.778
クレジットカード 1.592
そこで、ネットで検索してみたら、こんなとんでもない図が出てきた。「モナリザ」で、絵と何の関係もないところに、適当に黄金螺旋を重ねて、だから黄金比ですと、まことしやかに解説している。
「ドバイ・フレーム」は縦横比が黄金比の巨大建造物で、観光客向けの展望台として作られた。ドバイ政府の公式サイトは「多くの建築家や芸術家が理想的なバランスとしてきた黄金比にインスパイアされた。」としている。しかし著者は「寸法がどうであれ、この建造物が、浪費できるだけの金があることを見せつける醜悪な象徴であることには間違いない。とバッサリ切り捨てている。見事な見識だ。
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