E.W.Godwin
「ジャポニズム」というと、フランスの印象派への浮世絵の影響ばかり取り上げられるが、それだけではない。 印象派と同じ時代のイギリスで、「アングロ・ジャパニーズ様式」という英日折衷の美術が盛んになった。その先駆けが E.W.ゴドウィンという建築家兼家具デザイナーだった。
当時、日本の美術工芸品がイギリスで大人気だったが、ゴドウィンは日本のデザインの中にある「造形原理」とは何かを研究した。そのために建築や家具のスケッチをしている。
そして日本のデザインの原理を3つの要素にまとめている。それは「量塊感の配置上の工夫」「輪郭を作りだす巧みさ」「繊細さと強さの調和と対立」だった。
それをもとに、ゴドウィンは家具のデザインをする。それが「アングロ・ジャパニーズ様式」と呼ばれるようになる英日折衷デザインだった。当時のイギリスの家具といえば重厚で重苦しいものだったが、日本建築から学んだ「簡素」で「軽快」な造形を取り入れている。この「サイドボード」では、木の骨組みだけの開放的な構造で、一部だけ扉付きのカップボードがつけられている。これによって「緻密な部分と空ろな部分」の対比が生まれている。また底辺にある棚を中央と左右で高さをずらすことで、家具の輪郭が単調にならないように計算されている。
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