Electric pole
最近は電線の地下化が進んでいて、電柱はこれから絶滅危惧種化していきそうだ。しかし電柱にはどこか魅力を感じさせるものがる。
電柱を無くす目的のひとつは、景観を害さないようにすることだが、風景画を描く時も、電柱があっても省略して描かないという人が多い。しかし版画家の川瀬巴水には、電柱を絵の主役級の扱いで描いた作品が多い。電柱が見る人に、大正・昭和のノスタルジックな感じを引き起こすのにとても役立っている。そして水平線が多くなりがちな風景画で、垂直線の電柱が画面に変化をもたらしたり、引き締めたりするという構図上の効果もある。
「電柱マニア」という恐るべき(?)本がある。電柱の機能や構造を解説したうえで、全国の ”個性的な" 電柱を写真で紹介している。これを見ると、電柱というものがいかに造形的な魅力をもっているかがよくわかる。
ということで最近、電柱そのものだけを即物的に描いた絵を見かけた。「現代パステル協会展」に出ていた作品で、雪の降る寒空を背景に電柱が立っていて、てっぺんにカラスがとまっている。電柱一本だけで絵にしてしまう巧みさに感心させられた。電柱というものの「魅力」を活かしている。
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