寓意画では、登場人物をシンボリックに表すアトリビュート(人物の属性を特定させるための持ち物)として小道具が描きこまれる。
フェルメールの「信仰の寓意」は信仰がテーマの寓意画で、十字架やキリストの磔の絵や、アダムとイブのリンゴと蛇、など信仰と関係の深い物が並べられている。しかし女性が右脚で踏みつけている地球儀はどういう意味なのか。(以下は「オランダ絵画のイコノロジー」による)
以上からフェルメールの地球儀の意味が分かる。地球儀という世俗世界を踏みつけて、信仰の世界に入ったことの寓意だ。
フェルメールには、背景の壁に世界地図が飾ってある絵がいくつかある。世界地図は地球儀を2次元の平面に展開したものだから、フェルメールは地球儀と同じ意味の世俗世界のシンボルとして使っている。この「兵士と笑う女」もそうで、ワインを飲みながら男と談笑している女性の享楽的な生活の寓意になっている。
なお、世界中で植民地を拡大していた当時のオランダでは、一般家庭で世界地図をよく飾っていたそうで、地図のある部屋が不自然なことではなかったことも背景にあるという。
0 件のコメント:
コメントを投稿