「The Castle」
「カフカの『城』」は、原作を忠実に映画化している。文章のイメージがそのとうりに視覚イメージ化されていて、ミヒャエル・ハネケ監督の腕が見事だ。
主人公 K は、城へ行って城主に会おうとするが、実現できない。色々な試みを執拗に繰り返すが、誰によってどういう理由で阻まれているのかも全くわからないままだ。
このポスターは映画のイメージをぴったり表している。城は「支配者」の象徴で、書類の山は、役人たちの「官僚機構」の象徴。下に小さく写っている人間は、主人公を惑わす村人たち。この権力の3層構造が立ちはだかっている。(映画で実際にこういう映像が出てくるわけではない)
ストーリーらしいものはなく、断片的な出来事をつなげていくだけの原作と同じく、映画も断片的な映像をプツプツつなげていく。原作は未完成のままだが、映画でも突然プツンと画面が暗くなって「原作はここで終わっている。」と字幕が出て終わりになる。物事に対して、合理的な判断や行動をするために必要な「座標軸」が無くなってしまった世界を描いたカフカを映像化するのに、もともとそういう映画を作ってきたハネケ監督はぴったりの適役だ。
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