2019年4月24日水曜日

魚眼レンズの遠近法 球面投影

Fisheye lens & perspective

魚眼レンズの写真で、なぜ直線が湾曲して写るか、調べてみた。

絵画は平面に投影した像を描くし、写真も同じ。これを「平面投影」というが、魚眼レンズの像は球面に投影した像で「球面投影」と呼ばれる。これはプラネタリウムと同じ原理。球面に投影された直線は球面に沿うので、湾曲した曲線になる。

図と写真は、平面投影と球面投影の比較。(写真は普通のレンズと魚眼レンズで同位置から撮影したもの。)

魚眼写真は、周辺に行くほど激しく曲がり、画面中心付近は湾曲の度合いが少ない。その理由は、球面の中心付近(見ている人にとっての)はほぼ平面に近いので、平面透視と変わらないから、ということがこの図からわかる。
(図は、黒田正巳「空間を描く遠近法」より)
ついでだが、レオナルド・ダ・ヴィンチの遠近法の研究で「透視図の逆説」というのがあるそうだ。図のように、同じ大きさの3つの円(a,b,c)が並んでいるのを、平面投影(de)すると、外側の円は遠いのに、中心の円より大きく投影されてしまう。しかし球面投影(fg)だと同じ大きさに写る。それをダ・ヴィンチは「逆説」と言っている。(黒田正巳「空間を描く遠近法」より) だから正しいと思っている通常の写真は実は歪んでいて、魚眼レンズの写真の方が正しいことになる。しかし同時にダ・ヴィンチは、視距離が遠くなれば、この誤差はほとんど無くなるから問題ないとも言っているそうだ。上の二つの写真でも、画面中央の遠景では、両者の差はない。

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