ある作品の制作過程。(図上)現場スケッチ。(図中)油彩画のための下絵。(図下)油彩画。
現場スケッチと最終作との遠近法の違いを見ると面白い。天井の5本の梁に注目するとその違いがはっきり分かる。現場スケッチでは梁の間隔が詰まっているのに比べて、油彩画では間隔を広げている。その結果、手前の梁は真下に近い所から見上げているように見え、奥の梁はずっと遠くにあるように見える。それが天井の高さと部屋の奥行きを実際以上に大きく感じさせ、この教会を壮大なものに見せている。このような、手前から向こうへビュンと加速するように遠近感を強調する遠近法は「加速遠近法」と呼ばれる。
物を見た通りに描く方法だった遠近法を、いわば本当らしい嘘をつく方法として使った画期的な人だった。
(図は、岡田季未子著「十七世紀の光 オランダ建築画の巨匠サーンレダム」の図を編集した)
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