2018年7月11日水曜日

「パステルカラーの罠」 

"As Long As It's Pink,  The sexual politics of taste"  by Penny Sparke


「パステルカラーの罠、ジェンダーのデザイン史」という本を読んでいるが、著者が女性のデザイン史家で、ジェンダーの視点から近代デザインを見直しているユニークな本。


ある建築家が自宅の窓にヴェネチアン・ブラインドをつけると決めて、カーテンをつけたいという妻の希望を絶対許さない。妻は唯一カーテンを許された子供部屋で涙を流す。というエピソードが冒頭に出てくる。この話を合理性追求の近代デザインが女性文化の趣味性を排除してきたことの象徴としている。


一方で、消費文化の中心が女性になった今、電機製品や自動車でも「女性向け」という商品が多いが、大抵は柔らかい曲線とパステルカラーの色彩、という組み合わせのステレオタイプな「女性好み」のデザインだ。かつてカーテンをつけさせてもらえなかった女性が今では好きなものを選べるように見えて、それは「女性らしさ」を狭い範囲に固定化していると言っている。


台所製品などにパステルカラーの花柄模様をつける時、デザイナー(多くは男性)は商売のために不本意でやるが、女性の消費者は「かわいい!」と言って受け入れてしまう。「パステルカラーの罠」にはまっている。  (写真:日本語訳と原著の表紙)

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