Movie "Detroit"
アメリカでは毎年 300 人くらいの黒人が白人警官に射殺されているという。武器も持っていないのにいきなりパーンとやるのだが、起訴されてもほとんどが無罪になるそうだ。警察や裁判所を白人が牛耳っているからだが、その不公正の実態が「ミシシッピー・バーニング」という映画で暴かれていた。この「デトロイト」でもそんなアメリカの真実を 1967 年に実際にあった事件をもとにドキュメンタリー風に生々しく描いている。
デトロイトで黒人の暴動が起きエスカレートして銃撃戦になる。戦車まで出動し警官も狂気のように暴行しまくる。混乱の中で無関係の黒人の若者たちが狙撃犯と誤認されて捕まる。白人警官の凄まじい拷問が執拗に続き、最後には1人を殺してしまう。結局この事件でも警官は無罪になる。そんなアメリカの暗黒面を告発している映画だ。
今年のアカデミー賞(明日3 / 5発表)の有力候補だという「スリー・ビルボード」にも人種差別主義の警官が出てくる。しかしこの映画では警官の不当さよりも、警官に抗議する被害者の方を変人のクレイマーとして描くことが主になっている。そして「デトロイト」の方はノミネートさえされなかったのが不思議だ。