主人公は、表面は知的な医者だが実は精神の異常な殺人者で、次々に幸せな家庭を襲って一家を惨殺する。映画のなかで、前々回投稿の「怖い絵」であげたウィリアム・ブレイクの絵「巨大な赤いドラゴンと太陽の衣をまとった女」が重要な役割をしていて何度も登場する。映画の題名もここからきている。
ブレイクは幻視ができたようだ。心の中に現れる霊と交信して、霊が見せてくれるイメージを描写して絵を描いたという。目に見える風景や人物を描写してもそれは物事の表面を描いているだけで、目に見えていない真実を描くには霊が必要だ、と言っていたという。この絵は不気味な怪物に変身してしまった人間だが、人間の奥にひそんでいる悪魔性を描いている。横たわっている女性は怪物に襲われた犠牲者なのだろう。
だからこの絵は映画の主人公にそのまま重なる。監督にとって物語を象徴させるのにこの絵はぴったりだったのだろう。
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