このあいだ、久しぶりで富士の忍野八海へドライブした。
まだ残暑厳しい暑い夏の日だが、周辺の田舎道の散策が気持ちいい。富
士山の地下水がそこここで湧いていて、それが清流になっている。そん
なひとこまを、その時撮った写真をもとに描いてみる気になった。これ
がそのショットだが、夏の直射日光の強い光と、それと対照的な木陰の
涼しさ、そんな現場の雰囲気は写真には失われている。写真は、何もか
も解像度高く均質に映してしまうので、雑然としていて現場のイメージ
はまったく再現されていない。だから写真をもとに描くのは難しい。
その時受けた印象を思い出しながら、絵のエスキースを作る。写真のカ
ラーコピーの上にパステル鉛筆で色を乗せていく。陽の当たった遠景の
木を暖色系にし、かつ距離感を出すよう弱める。手前の日陰の近景を暗
く寒色系にして涼しさ感を出す。清流の反射を整理して、水面の平面感
を出す。主題の木橋が引き立つようにコントラストを配分する。などを
して、「写真」が「絵」になってきたと思う。やはり絵は「バリューコ
ントラスト」が命だと改めて思う。今日はここまでで、このエスキース
をもとに、本番にかかることにする。